「神はクリスマスを起こされた」 09.12.13
マタイ1:18〜25
 
神は、人が見たことも、聞いたことも、考えたこともない仕方で、人に救いを与え
ようとなさいます。主イエスの十字架と復活も、人が考えもしない驚きの出来事
です。また、神の御子が人としてお生まれになるクリスマスも、大きな驚きの
出来事です。クリスマスの物語に登場する人々は、みな驚いています。ヨセフも
マリアも羊飼いも占星術の学者たちも、驚いています。それは、ただの赤ちゃん
の誕生ではなく、神の御子の誕生であり、救い主の誕生であるからです。
主イエスの誕生は、「聖霊によって」と繰り返されていますように、人ではなく
神が起こされたことです。
 神は、どのようなお心でクリスマスを起こされたのでしょうか。マタイ21章で、
ぶどう園の主人が農夫から収穫を受け取るために農園に使いを送った話が
あります。農夫は使いの者を殺し、主人を拒みます。裏切られた主人は、
すぐに農夫たちをひどい目にあわせるのではなく、別の使いの者を送ります。
そして、最後には息子を送ります。クリスマスの出来事も、この話に通じる
ものがあります。神がクリスマスを起こされたのは、人を裁くのでなく救いたい
と願っておられるからです。救いを諦めていないから、最後の手段として神の
御子イエスを送ってくださったのです。
 どうしてそこまでなさるのでしょうか。人を信じているからです。神は、人の罪を
良くご存知です。しかし、それでもなお、私たちが悔い改めて、神に正しく向く
ことを信じてくださるのです。クリスマスは、この神さまからの信頼を思い起こす
のです。愛するということと、信じるということは別ではありません。神は、
クリスマスに主イエスをお送りくださいました。懺悔することの多い私たちを
愛してくださる神が、私たちが主イエスを受け入れることを信じてくださった
からです。マタイ福音書の最初の系図には、人の背きが繰り返し描かれますが、
神は人の救いを諦めません。天使は、主イエスのことを「この子は自分の民を
罪から救う」と言います(21節)。